土俵の女人禁制まとめ。次々明るみに出る相撲協会のおかしい対応

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(2018年4月12日追記:春巡業富士山静岡場所のちびっこ相撲女児参加禁止の内容を追加しました。)

2018年4月4日、大相撲の春巡業で事件は起こりました。

土俵の上で応急処置を施す女性に対し「女性は土俵を降りてください」という場内アナウンス。

ニュースやインターネットを通じて多くの方がその一部始終を見られたと思います。

そして「おかしい!人命救助のためなのに、なぜ降りろ?」「そもそもなぜ土俵は女人禁制なの?」いろんな疑問を持たれたと思います

そこで今日は、

  • この事件のまとめ
  • 土俵の女人禁制の由来
  • 女人禁制によって起こった過去の問題

を詳細にお伝えしていきます。

「女性の方は土俵から下りてください」アナウンス事件まとめ

まずは動画をご覧ください。

土俵での応急処置から問題アナウンスまでの一部始終

2018年4月4日、 この日 京都府・舞鶴市で大相撲の春巡業が行われました。

舞鶴市の市長である多々見良三市長が土俵に立って挨拶している最中、市長は急に意識を失い土俵の上で倒れてしまいました。

すぐに男性数名が土俵に上がり市長を取り囲みますが、とりあえず意識を確認するため声をかけるなどしているのでしょうか。集まっているだけのようにも見えます。

そこですかさず医療従事者とみられる女性が土俵の上に駆け上がり、心肺停止を確認する素振りが数秒間あり、その後すぐに見事な手際で心臓マッサージを行います。

さらに土俵の上にはたくさんの人が駆け寄り、動画の手前から2名の女性が駆け付け救急隊が会場に到着。そして場内アナウンスで「女性の方は土俵から降りてください」「男性がお上がりください」と数回アナウンス。

このとき、アナウンスに動揺して手前の女性2名のうち1名は土俵から降りようとしますが、もう1名の女性がそれを止め救助にあたろうとします。この様子からむやみやたらに土俵に上がったのではなく、この女性2名もやはり医療従事者であると考えられます。

アナウンスをしたのは若手の行司でした。実は、観客が「女性を土俵に上げていいのか?」という発言をし、そのまま「女性の方は降りてください」というアナウンスに至ったようです。

動画はここまでですが、この事件に関連するニュースはまだまだ続きます。

「女性は降りて」問題に関連するニュースまとめ

4日、事件の起こった当日の夜に相撲協会の八角理事長が謝罪コメントを発表しました。

行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫び申し上げます。

大相撲の八角理事長が女人禁制の土俵騒動でコメント

個人的にはこの素早い対応に感心しましたが、この謝罪を打ち消すような残念なニュースがその後も続きます。

市長が運ばれた後「大量に塩がまかれた」

Photo:sxc(freepik)

八角理事長の謝罪コメントが発表された後くらいに続報として「市長が担架で運ばれ、女性たちが土俵から降りたあと大量の塩がまかれた」という多くの目撃情報がニュースに取り上げられたのです。

相撲に限らず、日本では塩は「お清め」に使われるものです。つまり女性たちが土俵に上がったことにより「穢れ」たから清めたのではないか?とさらに炎上してしまったのです。

大量の塩がまかれたことについては複数の意見があります。上記の通り「女性は穢れだから」という意見と、「けが人が出た土俵を清めるため」という意見があります。

しかし、目撃情報によると「塩をまいたのは女性が全員下りたタイミング。男性はまだ土俵に残っていた」ということなので、タイミング悪くどちらの意味ともとれる行為となってしまったようです。

巡業宝塚場所で女性市長土俵に上がれず挨拶「悔しい」

事件から2日後の6日、兵庫県宝塚市で春巡業が行われました。

宝塚市市長の中川智子さんは、あらかじめ相撲協会に土俵の上で挨拶したいと要望したところ女性という理由で断られ、土俵下に設けられた台から挨拶することとなりました。

中川市長は土俵の下から挨拶し「女性という理由でできないのは悔しい。伝統を守りながら、変革する勇気も大事なのではないでしょうか」と疑問を投げかけました。

なぜ土俵は女人禁制?

急病人の応急処置も市長も「女性だから降りてください」。なぜこうなってしまうのでしょうか?その理由は、大相撲において土俵の上は「女人禁制」だからです。これは大相撲の伝統とされており、守られてきたルールなのです。

ではなぜ、土俵の上が女人禁制となっているのでしょうか?

その理由は以下の通りとされています。

  1. 神事である相撲を執り行う「土俵という神聖な場所」において女性は「穢れ」とされるため。
  2. 五穀豊穣の神様である女神さまを喜ばせるために男性しか土俵に上がれない。

しかし、事実を紐解くと上記のような理由は単なる「後付け」でしかないことがわかってきます。

なんと江戸時代には女相撲が盛んにおこなわれていたという歴史が残っているのです。いつから土俵が女人禁制になったのか?それは明治以降のことです

江戸時代という長い鎖国が終わり、日本は近代化や家制度の創設が進みます。その渦中で、女性がほとんど裸で力比べをする行為が文明国家のものではないという考えや、男尊女卑の浸透に伴って相撲の女人禁制につながりました。

そこに何かもっともらしい理由が欲しいために「土俵は神聖だから穢れである女性は上がっちゃダメ」「女神様のための神事だから男性じゃないとダメ」という後付けの伝統が生まれたのです。

相撲の歴史は古く、起源は1500年前にさかのぼるとされています。この長い期間に比べると明治から始まった女人禁制のルールはずいぶんと浅いものです。

上記のことを踏まえるとなおさら、人命救助のために駆け付けた女性に対する「女性の方は降りてください」というアナウンスや、女性市長の土俵上の挨拶が断られたことが、いったい何のためのものだったのか…残念でなりません。

土俵の女人禁制によるトラブルは過去にもあった

次々と明るみになる、大相撲「女人禁制」のおかしな伝統と制度。実は過去にもこの女人禁制のために様々な問題が起こっているのです。

わんぱく相撲全国大会の女人禁制

わんぱく相撲全国大会は小学生が対象の相撲大会です。地方大会を勝ち抜いた選手が全国大会に出場できるのですが、それは男子のみしか許されていないのです。

地方大会によっては女子の相撲も認められている場合があるのですが、地方大会において女子が優勝することもあり得るのです。

  • 1978年、わんぱく相撲東京場所において10歳の女子が優勝したが、全国大会の土俵に上がることが許されず全国大会を断念
  • 1991年、わんぱく相撲美馬大会において小学校5年生が優勝したが、全国大会の切符となるメダルは2位の男子に授与された

女性官房長官による表彰を相撲協会が拒否、問題定義へ

1989年、当時官房長官であった森山眞弓さんは土俵に上がって内閣総理大臣杯を授与しようとしたところ相撲協会に拒否されました。

森山さんは女性差別として問題定義を起こし、議論を巻き起こしました。

女性大阪府知事による表彰を相撲協会が拒否、男性副知事が代行したところ炎上

2004年、当時大阪府知事であった太田房江さんは知事杯を授与しようとしたところやはり相撲協会に拒否され、男性副知事が代わりに授与を行いました。この出来事を受けてNPO法人が太田府知事に対し、知事賞の費用を府に返還するよう求める事態に発展します。

結局この請求が認められることはありませんでしたが、大阪府監査委員が知事賞の廃止を勧告することになります。

(追記)ちびっこ相撲の女子参加禁止

2018年4月8日、大相撲の春巡業「富士山静岡場所」で力士が子供たちに相撲の稽古をするちびっこ相撲で、女児5人が参加予定だったにもかかわらず開催直前に日本相撲協会から「女の子は遠慮してほしい」と、小学生の女の子の参加を禁止しました。2015年から2017年の春巡業富士山静岡場所では小学生の女の子たちが土俵上に上がる姿がありましたが、2018年に突然禁止となりました。

こどもたちが所属する相撲クラブのコーチは、地方の巡業くらい女の子も土俵に上げてほしかったと悔しさをあらわにしています。参加予定だった女の子たちの気持ちを思うと、残念でなりませんね。

(引用元:東京新聞

(さらに追記)2018年4月6日に開催された春巡業「宝塚場所」でも、日本相撲協会の申し入れでちびっ子相撲の女児の参加が禁止されていることがわかりました。去年までは女児の参加が認められていたとのことです。

宝塚市の春巡業では、中川市長が女性という理由で土俵に上がれなかったことも問題になっています。

まとめ

舞鶴の大相撲巡業のニュースから、相撲の女人禁制にまつわる由来やエピソードについてまとめてお送りしました。日本の近代化に伴って出現した「女人禁制」という制度が、むしろ現代においては「女性差別」という風習になっていることが明るみになりました。

ただし、一度定着した伝統をまた覆すということはそう簡単にはできることではありません。そもそも「女性の方は降りてください」のアナウンスのきっかけは観客であることを忘れてはいけません。女人禁制こそ相撲!という意見の方もいて、その意見も尊重する必要があります。

このニュースが多くの人の関心を呼び議論につながり、女人禁制肯定派と廃止派の折り合いがつき、いつか「女性の方は降りてください」などという悲しいニュースがなくなることを願っています。

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